※ここでは2024年12月23日時点で日本公開のアナウンスがなされていない作品をご紹介します。情報が古くなっている可能性もありますので、ご了承ください。
目次
2024年に日本公開されなかった映画たち・・・
皆さんが2025年に期待している映画は何でしょうか?ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じる『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』、大人気ミュージカルを映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』、ヒュー・グラントが悪役を務める『HERETIC』、ポン・ジュノ監督の新作『ミッキー17』などなど・・・。多くの作品が封切を控えています。
しかしそんな中、2024年12月時点において未だに日本公開の目途が立っていない作品も数知れず、公開決定のニュースを今か今かと待ち構える我々映画ファンの心はどうにも落ち着きません。
というわけで今回は、そんな封切待ちの洋画をいくつかピックアップして紹介していきます。
これらの作品が2025年に公開されることを願って・・・。
The Caine Mutiny Court-Martial(アメリカでの公開日は2023/10/6)

画像引用:IMDb‐The Caine Mutiny Court-Martial
2023年に亡くなられたウィリアム・フリードキン監督の遺作。『フレンチ・コネクション』、『エクソシスト』で映画史に名を刻んだ彼ですが、『恐怖の報酬』が興行的に失敗してからどうにもパッとしない作品が続いていました。(『L.A.大捜査線/狼たちの街』で一度盛り返したようですが。)しかし11年の『キラー・スナイパー』が好評を博し、この映画が実に12年ぶりの監督作品となったのですが、これが最後の作品になってしまうとは・・・。
原作はハーマン・ウォークによる同名の戯曲。これはウォーク自身による同名小説を元にしており、こちらは1954年に『ケイン号の叛乱』としてハンフリー・ボガート主演で映画化されています。
常軌を逸した艦長の代わりに指揮を執った副官らが、帰港後に軍法会議にかけられる様を描きます。主演は『24 -TWENTY FOUR–』のジャック・バウアー役でおなじみキーファー・サザーランド。助演は『オッペンハイマー』のジェイソン・クラーク。
こちらは本国アメリカにおいてParamount+での配信公開となったため、日本でも劇場公開はされないかもしれませんね。

ケイン号の叛乱 (字幕版)
Eileen(アメリカでの公開日は2023/12/1)

『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジーと『インターステラー』のアン・ハサウェイが共演するサスペンス。少年拘留施設で働く女性二人の緊迫した関係を描いた作品です。
監督のウィリアム・オルドロイドはフローレンス・ピュー主演で『レディ・マクベス 17歳の欲望』を制作しています。こちらはショスタコーヴィチによるオペラでも有名な『ムツェンスク郡のマクベス夫人』を映画化したもの。primeで観ることができます。
ちなみにオデッサ・モシュフェグによる原作小説『アイリーンはもういない』は早川書房より邦訳が出版済みです。先にこちらを読むのもアリでしょう。
Love Lies Bleeding(アメリカでの公開日は2024/3/8)

ジムマネージャーとボディビルダーのレズビアンカップルが犯罪に加担していくクライム・サスペンス。タイトルを日本語に訳すと「愛は血を流して横たわる」でしょうか。主演は『カフェ・ソサエティ』のクリステン・スチュワート、『ツイスターズ』のケイティ・オブライアン、助演に『ドニ―・ダーコ』のジェナ・マローン、『トップガン マーヴェリック』のエド・ハリス。
監督のローズ・グラスにとっては2作目の長編映画です。前作の『セイント・モード/狂信』は短いながらも強いインパクトを残すホラーとなっています。こちらもprimeで観れますので興味のあるかたはぜひ。

セイント・モード/狂信
Megalopolis(アメリカでの公開日は2024/9/27)

『ゴッドファーザー』、『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラ監督による新作。この映画が企画されたのは1984年のことであり、コッポラ監督にとっては念願のプロジェクトでした。
ニューヨークにユートピアを築こうとする男の物語。主演は『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レン役で有名なアダム・ドライヴァー。共演は『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフ、『ミッション:インポッシブル』のジョン・ヴォイト、『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーン、『アステロイド・シティ』のジェイソン・シュワルツマン、そして『クレイマー、クレイマー』のダスティン・ホフマン。キャスト陣は非常に豪華です。
この映画が日本公開されていないのは、やはり本国アメリカでの興行・批評面での苦戦が影響しているのでしょう。「カンヌで試写公開後に配給会社がなかなか決まらなかった」というニュースからすでに不穏な気配はあったものの、一般公開後も初登場6位スタートという厳しい結果になってしまいました。今作でコッポラ復活なるか、と私も期待していたのですが、残念ながらそうはならなかったようです。
コッポラ監督の新作『メガロポリス』が大コケ…168億円の私財を投じるも興収6億円弱しか上げられず(シネマトゥデイ 2024/10/1)
とはいえ、映画は実際に観てみなければ良し悪しはわかりません。評判が悪いとしても、自分で観た上で判断したいですね。
(2025/4/15:追記)2025年6月20日に日本公開決定!
映画「メガロポリス」日本公開が決定!IMAX上映も実施、ハークと松竹の共同配給
Maria(アメリカでの公開日は2024/11/24)

アンジェリーナ・ジョリーが伝説的なオペラ歌手マリア・カラスを演じる作品。監督のパブロ・ララインは『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』、『スペンサー ダイアナの決意』といった、実在の女性を題材にした伝記作品を作り続けていますが、今作もその系譜に連なるのでしょう。
マリア・カラスという人物はオペラを知らない人からすれば馴染みのない人物ですので、そこがネックになるのかも。まあ私もよく知らないのですが・・・。さらに配給がNETFLIXなので、こちらも日本では劇場公開されないかもしれませんね。
ちなみに『スペンサー』は私の中では2022年のベストでした。素晴らしいメロドラマですので、観ることをオススメします。

スペンサー ダイアナの決意(字幕版)
Nosferatu(アメリカでの公開日は2024/12/25)

F・W・ムルナウ監督によるサイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』をリメイクした作品。オリジナル版は著作権が消滅しており、無料で鑑賞することができます。
原作のドラキュラに該当するオルロック伯爵を演じるのは、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズ役で名をはせたビル・スカルズガルド。ヴァン・ヘルシングに該当するフランツ教授を演じるのは、『スパイダーマン」のグリーン・ゴブリン役で有名なウィレム・デフォー。共演はジョニー・デップの娘であるリリー=ローズ・デップ、『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のニコラス・ホルト、『キック・アス』のアーロン・テイラー=ジョンソン、『チャタレイ夫人の恋人』のエマ・コリン。
この記事で紹介した映画の中で、今作は私が最も期待している作品です!
監督のロバート・エガースがこれまでに制作したのは『ウィッチ』、『ライトハウス』、そして『ノースマン 導かれし復讐者』の3作。そのどれもが厳かな独創性を感じさせる傑作ぞろい。ダーク・ファンタジーを描かせたらこの人の右に出る者はいないと思います。しかし日本では知名度が低いせいか、いずれの作品においても本国との公開時期に半年以上の感覚が開いているのが現状。もっと人気が出てほしい監督ですね。
とにかくこの予告編を観て頂きたい!
(2025/2/8:追記)2025年5月16日に日本公開決定!
The Shrouds(フランスでの公開日は2025/1/22→4/30に変更)

『ザ・フライ』で有名なデヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作。妻を亡くした実業家がとある機械を発明します。タイトルのShroudとは死者を覆う埋葬布のことです。主演は『ブラック・スワン』のヴァンサン・カッセルと『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー。助演は『メメント』のガイ・ピアース。
この作品は2024年に一般公開されていないので本記事の趣旨からは若干外れるのですが、紹介させてください!
というのは、クローネンバーグ作品も日本公開が遅れがちだからです。その奇抜な作風が人を選んでしまうからでしょうか。前作の『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』はカナダ公開から1年以上が経っての日本公開となっています。今作はどうなることやら・・・。デヴィッド・クローネンバーグは私の最も好きな映画監督の一人ですので、なるべく早く観たいものです。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
終わりに
いかがでしたか?興味をそそられる作品はありましたでしょうか。これらの作品の日本公開が決まり次第、追記していきたいと思います。
今回ご紹介しきれなかった中にも面白そうな洋画はいっぱい。『魂のゆくえ』のポール・シュレイダー監督によるMaster Gardener、ケイト・ブランシェット主演のブラックコメディRumours、『三銃士』を映画化した2部作 Les Trois Mousquetairesなどなど。ピンとくる名前がありましたらチェックしてみてください。
+α
そして最後に、日本公開が決まっている洋画の中から一つだけ、私が最も期待している作品を紹介します。
『ブルータリスト』(日本での公開日は2025/2/21)

ホロコーストを生き延びて渡米したユダヤ人建築家の物語。主演は『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。共演は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズ、『メメント』のガイ・ピアース、『女王陛下のお気に入り』のジョー・アルウィン、『ニンフォマニアック』のステイシー・マーティン、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のラフィー・キャシディ。
監督のブラディ・コーベットはいま最も注目すべき映画監督です!彼の手掛けた『シークレット・オブ・モンスター』と『ポップスター』は粗こそあれ強烈な作家性が感じられた作品群であり、私は次回作には大きな期待を寄せていました。
前作の『ポップスター』は本国から日本公開に至るまでに約1年半かかっており、『ブルータリスト』もしばらくは観れないかな・・・と思っていましたが、その予想は見事に覆されました。北米公開は12月で日本では2月に封切なので、まあ標準的といえるんじゃないでしょうか。これは嬉しいニュースでしたね。
ただ一つだけ心配なのが、上映時間がまさかの3時間半越えという事実。トイレは大丈夫だろうか・・・。
(2025/1/24:追記)どうやら上映開始から100分経過後に15分間のインターミッションが挟まれるようです。
アカデミー賞10部門ノミネート『ブルータリスト』先行&IMAX上映決定 ─ インターミッション用読書冊子も配布
(2025/3/5:追記)レビューを投稿しました!